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アール・ヌーヴォー〜アルフォンス・ミュシャについて

2016/4/9

アール・ヌーヴォー〜アルフォンス・ミュシャについて


アルフォンス・マリア・ミュシャ(Alfons Maria Mucha )は、チェコ生まれで、19世紀末から20世紀初頭にパリで活躍したアール・ヌーヴォー様式を代表するイラストレーター・グラフィックデザイナーです。


ミュシャの生い立ち


ミュシャは、1860年、オーストリア帝国のモラヴィアに生まれ、幼少より絵に興味を持ち、聖ペトロフ教会聖歌隊の聖歌集の表紙などをデザインしました。

ミュシャが19歳のとき、ウィーンに出て、舞台装置の仕事などをしながら、夜間にデザイン学校に通い、その後、伯爵の援助を得てミューヘン美術学院に学びました。


卒業後はパリに行きますが、画家の仕事はなく、挿絵の仕事などをして生計をたてていました。そんな折、後のアルフォンス・ミュシャの伝説ともいえるポスターの仕事が舞い込んできます。

1894年のクリスマスの翌日、メルシエ・リトグラフという印刷所に飛び込んできた当時の人気舞台女優サラ・ベルナールの劇場用ポスターの仕事を、たまたま工房に残っていたミュシャが幸運にも受け持つことになったのです。

この女優サラ・ベルナールを主題とした演劇「ジスモンダ」のポスターは、大みそかから新年にかけて、パリの街中に貼り出されます。


流麗な曲線ポスターを駆使しながら、美しく威厳を持たせて描かれた女優サラ・ベルナール「ジスモンダ」のポスターは、一大センセーションを興こすほどの大人気となり、それとともにミュシャの名も一躍有名になりました。

このポスターを気に入ったサラ・ベルナールは、直ちにミュシャと専属契約を結び、以後、「サマリアの女」(1897年)、「メディア」(1898年)などの優れた作品が発表されました。

さらに、商業用ポスターや書籍のデザイン、装飾図案集、装飾パネルなどの仕事も精力的にこなし、ミュシャは、シェレ、ロートレック、グラッセなどと並ぶアール・ヌーヴォーの代表者となりました。



ミュシャ作品の特徴


ベル・エポックを象徴するアルフォンス・ミュシャは、星、宝石、草花などをモチーフとした幾何的な文様や、曲線を駆使した平面的で装飾的な画面構成を用いた典型的なアール・ヌーヴォー様式と、女性像を独自の観点で見事に融合させた、数多くの商業用ポスターや挿絵を制作し、現在もそれらの作品で高い人気を得ています。

ミュシャの作品の特徴は以下の通りとされています。


美しい女性像…ミュシャのポスターなどの商業作品は、女優サラ・ベルナールに代表されるような美しい女性像がモチーフとなっている点です。女性の全身像やクローズ・アップ像を、縦長の画面に配置し、髪や着衣のひだなどを、アール・ヌーヴォーらしい流麗な曲線を用いて、優美に描いています。


アール・ヌーヴォーの草花…ミュシャの商業ポスター作品には、主題の女性の周りには様々な草花によって彩られています。百合、バラ、サクラソウ、あざみ、蔓草などが総柄にアレンジされて、縦長の画面の至るところにまで描かれています。


浮世絵の影響…ミュシャの装飾性の高い平面的表現には、日本の浮世絵からの影響が強く感じられます。ミュシャの描く横顔のクローズ・アップや女性の立像ポーズは、浮世絵の喜多川歌麿や東洲斎写楽の「大首絵」の影響を受けているといえます。

美術評論家によれば、また1900年頃の作品「花の中のサラ・ベルナール」は、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を想起させる構図によって描かれています。


19世紀末の色…ミュシャの作品には、黄褐色から緑灰色を中心とした、独特な色調の中間色の柔らかい色の濃淡が使われ、全体の調和と統一感をもたらしています。


ミュシャの主な作品

ジスモンダ

黄道12宮

夢想

四季

四芸術 (ダンス、絵画、詩、音楽)

スラヴ叙事詩(連作絵画作品) 等

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