欧米のコレクターも魅了するオールド・ノリタケの魅力は、なんといっても華麗な彩色とヨーロピアンなデザインです。
そこには、日本の職人ならではの繊細なタッチと、西洋の焼き物に迫る日本の職人たちのヨーロピアンタッチの技の融合がなんともいえない魅力を醸し出しています。
アールヌーボーを中心としたオールド・ノリタケは以下のような技法に大きな特徴を持っています。
オールド・ノリタケを代表する技法で、欧米でもそのままMORIAGEと表記されます。
オールド・ノリタケの盛り上げは、表面を立体的に装飾する方法で、種類がいくつかありますが、特に代表的なものがイッチンというものです。イッチンは、絞り口を通してケーキのクリームのように粘土を搾り出して、点や線、面を盛り上げ、立体的な装飾を施す技法です。そのほか、貼り付け盛り上げ、刷毛盛り上げなどがあります。
金色で彩る華やかな技法です。陶磁器の表面に地色を塗った上に、盛り上げのイッチンの技法を用いて、一度焼成した後、その上から金液(金を王水で溶かして液状にしたもの)を塗り被せて再度焼き付ける技法です。
金そのものを盛り上げたように豪華にみえます。
絵付けや地色を塗った後に、イッチンを利用してビーズのようにれんぞくした点々を盛り上げていき、そこに金を筆などでかぶせていく手法です。
金のビーズを埋め込んだようにみえ、皿や花瓶などの高級品の花瓶口や窓抜きの縁周り、皿縁などの部分に使用されています。細かく点状に盛り上げ、丹念に正確に装飾するため、かなりの職人芸が必要とされます。
宝石を埋め込んだようにみせる手法です。不透明なガラス質でできたエナメルを使って盛り上げるため、エナメル盛りともいわれます。
赤、ピンク、青、緑、黄色など多彩な色のエナメルを盛り上げ、まるで宝石(ジュール)のようにみえ、多くは金盛りや金点盛りで装飾された中に、さらに華やかさを増すために施されます。トレーやベースの縁をレースのように飾るものが多くみられます。
布目を生地の表面に表す技法です。素地が柔らかいうちに、布を張り焼き付けてから焼成すると、布目が残り、まるで油絵のキャンバスの様な雰囲気を出し、そこに刷毛で彩色を施します。
粗い目や細かい目など、変化があり表面の立体感から生まれる重厚さのある技法です。製作された数が少なかったため、稀少性の高いオールド・ノリタケ技法とされています。
アールデコ・ファンシーウェアに多用された、パールの様な虹色の色彩を施す技法です。酸化銅などの酸化金属で絵付けをして700℃前後の低い温度で、焼成することで、表面に薄い金属膜を作り、真珠のような輝きを出す技法です。酸や洗剤、熱湯に弱く、また発色のために鉛を含んでいるので、日常使う食器類には適さず、飾り皿などに用いられます。
石膏型にレリーフを施して、浮彫風に造形する技法です。石膏による割型で生素地を形成することによって、生地に凹凸をつくり、人物、動物、建物などの型で浮彫を強調します。
その上から、手描きで様々な色をのせたり、ぼかしたりするなどして、よりリアルな絵付けを施していく技法で、花瓶や飾り皿のほか、葉巻入れ・灰皿・ビアマグなどにも多く用いられました。
転写は、1950年頃にイギリスで発明された、同じ絵柄を数多く生産するための印刷に似た絵付け技法です。主にオールド・ノリタケのポートレートシリーズに使われています。
転写には上絵付けと下絵付けの2種類がありますが、オールド・ノリタケの場合は一度焼成してから転写する上絵付けで、評価の高い作品群です。女王マリールイーズや修道僧などがあり、非常に凝った装飾で飾られたものが多くみられます。