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漆塗とは〜漆の特徴

2016/1/7

漆塗とは〜漆の特徴


漆は「漆の木の樹液から精製された天然の塗料」で、漆を塗り重ね、飾りをほどこした漆工・漆工芸は、使い込むほどに風合いが増す、日本が世界に誇る伝統技術のひとつです。

黒や赤の漆で塗られた漆器は、お椀や重箱、箸、盆などでお馴染みですが、使い込む程に風合いが増す耐久力を持っています。

驚くことに5500年前の縄文時代前期のものと推定される漆の土器が、山形県押出遺跡から出土したそうです。縄文時代に漆塗の技術があったことにも驚かされますが、なにより漆の耐久性の高さを物語っています。

また、漆は接着剤としても用いられており、中尊寺金色堂や日光東照宮などの文化財の補修などにも使われています。器を守り、表面に艶をだし、強い接着力をも持つ漆は、和を重んじる日本人に長く愛され続けてきました。


漆の特徴

接着力〜漆は塗料としてだけでなく、小麦粉や膠などを混ぜることで、強力な接着剤となります。小麦粉を混ぜた漆は陶器に、膠漆はガラスや磁器の修理に用いられます。

耐久力〜熱やアルカリ、酸に強いという特徴を持つ漆ですが、腐敗防止や防虫効果ももっており、そのため、漆塗りの食器・家具は丈夫で長持ちするのです。

光沢力〜漆液の中に含まれるゴム質や多糖類が、液が固まる際にみえない凹凸をつくっており、それが光に当たって乱反射を起こします。これが漆の光沢の秘密です。



日本の主な漆器の産地


洗練された伝統的な技術が活かされた日本の漆器ですが、全国各地に多くの産地があります。各地の漆器にはそれぞれの土地の風土と歴史・生活が反映された特徴があります。主な漆器の産地と特徴は以下の通りです。


津軽塗(青森県)

津軽塗は、藩の産業として漆工芸が奨励されていた江戸時代に発達しました。津軽塗独自の伝統技法「研ぎ出し変わり塗」は、塗りと模様を同時に作るのが特徴です。色漆を塗り重ねた断層を使って、美しい文様を表す「唐塗」のほか、「魚々子塗」「錦塗」「紋紗塗」などがあります。


会津塗(福島県)

会津塗のうち、数種の色漆で器に直接、絵を描くものを「漆絵」といいます。ほかに金箔をあしらった「会津絵」、絢爛豪華な「錦絵」などがあります。


輪島塗(石川県)

国の伝統工芸品に指定されている輪島塗は、厚手の木地に生漆と米糊を混ぜたもので布を貼って補強し、生漆と米糊、焼成珪藻土を混ぜた下地を何層にも厚く施した、堅牢な漆器です。18世紀に北前船の往来によって北海道から九州まで輪島塗は運ばれました。 装飾も沈金、蒔絵、螺鈿、漆絵、平文など、現在知られている多様な技法が用いられています。


大内塗(山口県)

室町時代前期に栄華を誇った大内文化の華やかさを今に伝える漆器です。大内塗独特の朱色は、渋下地に弁柄漆を上塗りしたもので、その上に装飾として黄色や緑の色漆で描かれた大内菱や菊、雲などを用いた優雅な絵模様が特徴です。


琉球漆器(沖縄県)

中世の中国に学んだ沈金・箔絵・螺鈿のほか、堆錦という独自の加飾法があります。堆錦は漆と顔料を練り合わせて色餅を作り、さらに薄くのばした文様を型抜きして貼り付けるというものです。デイゴの木地や豚血下地が用いられることも琉球漆器の特長です。

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