やきものなど茶道具や骨董品の買取査定では、「共箱」の有無が買取査定額に影響するチェックポイントのひとつです。
共箱(ともばこ)は、一般には馴染みの薄い言葉ですが、作家自身の箱書き(署名)がある箱のことを指します。
有名作家の手による茶碗などのやきものを購入すると、作家自身が箱書きした共箱に入っているものが多いですが、この共箱が、陶印と共に作品が本物であるかどうかを判断するのに、重要な役割をもっています。
日本の骨董業界においては、作品本体に共箱が付いていないと美術品としての価値が激減するものがあります。茶道具、茶杓、掛軸などの骨董書画、やきものなどがその例としてあげられます。
共箱という文化は日本独特のもののようで、西洋絵画などの場合は、オークションなどで作品に付随する箱の有無によって、その価値や評価が上下するといったことは見受けられないといいます。
しかし、日本の場合、特に骨董的価値のある古い茶道具などに関しては、有名な茶人、大名、宗匠などの箱書き付の古箱があれば、そのものの価値や評価は非常に高くなります。こうした箱書きのあるものは、その伝来を示すものとして、作品本体とともに評価に大きな影響を与えるものとされています。
やきものなどは、共箱や箱書きがなければ、作品本来の価値も下がるともいわれます。また、人間国宝や箱書きしない有名作家の作品には、箱書きの偽物までも流通している場合も見受けられますので、その真贋を判断するには経験や目利きが必要となります。
極箱とは
共箱は、陶芸や骨董に詳しい方なら、捨ててしまうことはあまりないかもしれませんが、戴き物であったり、あまり詳しい方でない場合、捨ててしまったり、壊れてしまう、また他の作品の共箱と入れ違いになってしまうといったケースもみられます。
そういった場合は、箱書きがないと作品自体の価値や評価が下がってしまうため、作者に新たに箱書きしてもらうことがあります。その箱のことを極箱(きわめばこ)といいます。
作家が物故の場合は、後継者や遺族、または鑑定人・鑑定団体が、本人の作品であると認定します。極箱の評価としては、共箱と同等の扱いとされています。
また、作品が本来の箱に入っていないで、それらしい別の箱に入っているものを合箱(あわせばこ)といいます。持ち主が改めてあつらえた合箱は、場合により値打ちが生じます。
有名作家の陶芸作品や書画、茶杓などは、通常、それを納める箱も同時につくられ、箱の蓋の表か裏に作家や茶人が箱書きをします。
その作品の価値や伝来を示す共箱の有無は、買取査定の際、査定士がチェックする重要なポイントです。
骨董品や美術品など売却するときには、少しでも高い値段で買取ってもらいたいものです。そのためにも査定に出す際には、共箱をそろえておきましょう。
特に茶道具の場合、共箱に作家本人直筆の名前、茶道具の銘、家元の書付花押などが書かれている場合があります。これは作品の価値を決める重要な要素となるため、必ず共箱に入れて査定に出しましょう。
共箱は、作品の保証書のような役割を果たす大切な存在です。
茶道具などお使いになっている間に、共箱が壊れてしまったり、中身が入れ子になってしまったり、中には邪魔だから捨ててしまったという方もおられます。
いわの美術では、経験豊富な目利きの査定士が常籍しておりますので、共箱のない場合でもお買取の対象とさせていただいておりますが、共箱がある方が買取額アップになり、高価買取につながりやすくなりますので、共箱を捨てたり、粗末に扱わない様にしましょう。