前回に続き、堅実なものづくりの国ドイツのアンティークな博物館・美術館をいくつか紹介します。
自転車からオートバイまで、二輪車の歴史が一覧できる博物館です。自転車に簡単なエンジンを取り付けた形の世界初のオートバイ、地面を足で蹴って前身する初期の木製自転車など珍しい展示物も楽しめます。
世界的に有名な宝石研磨の街イーダー・オーバーシュタインにあるドイツ宝石博物館には、世界中の宝石のカット石や原石が集められ、宝石学的にそれぞれが区分・説明がなされています。ドイツ語で「石の上の町」を意味するイーダー・オーバーシュタインは、15世紀半ばにメノウ鉱山が発見されたことから宝石研磨技術が発展し、以降宝石産業の集積地として発展してきました。
この博物館は、街の中心部に位置し、1894年に個人の邸宅として建設された重厚感漂う建物が使われ、世界中から集めた約1万点の宝石コレクションが展示されています。
この宝石博物館の特徴は、イーダー・オーバーシュタインの彫刻家による数々の素晴らしい宝石彫刻の展示で、カメオ彫刻家や宝石彫刻家の作品も数多く展示されています。例えばイーダー・オーバーシュタインのカメオ彫刻の礎を築いたといわれるアウグスト・ヴィルトのパリ万博でグランプリを受賞したカメオや、リチャード・ハーンの遺作となったカメオ、光の魔術師と呼ばれる宝石彫刻家ベルント・ムンシュタイナーの作品などが展示されています。 また、1375年〜現代までのこの街での宝石研磨工業の発展の歴史に関する資料も常設されています。
フォルツハイムは、フランスとスイスの国境近くに位置し、ジュエリーと時計を基幹産業とし、黄金の都とも謳われたドイツの装身具生産の町です。
フォルツハイム装身具美術館は、ロイシュリンハウスと呼ばれる市立文化センターの中にあり、古代からギリシャ・ローマ時代をはじめ、アールヌーヴォー、アールデコ、そして現代に至るすべての時代と様式の装身具が網羅されています。フォルツハイム装身具美術館のコレクション数は、充実しており、装身具の歴史だけでなく、ヨーロッパの歴史の発展も学ぶことができる美術館となっています。
古代から現代に至る2000点以上の時計を所蔵、展示している博物館です。紀元前3000年頃つくられたエジプトの日時計や水時計、火時計などごく素朴な時計から、豪華な意匠を誇る18世紀中頃の皇帝用時計までの数々をみることができます。
中世から現代までの絵画・モダンアート・彫刻・工芸品など、17世紀のルーベンスからオットー・ディクスやリヒターなどの近現代芸術まで、広範囲な作品10万点以上が所蔵・展示されています。ガラス工芸だけでも3000点以上あり、ヨーロッパ随一のアールヌーヴォー期のガラス工芸コレクションを誇っています。