前回に続き、骨董の本場イギリスのアンティークな博物館・美術館をいくつか紹介します。
東ロンドンに位置するジェフリー博物館は、イギリス国内で唯一の家具とインテリアを専門とする博物館です。かつてロンドン市長も務めたことのあるロバート・ジェフリー(Sir Robert Geffrye)によって、1716年に建てられたレンガづくりの建物を利用しています。この建物は、20世紀初頭までは身寄りのない人達が暮らしていた救貧院として使用されていましたが、それを博物館としたものです。
ジェフリー博物館となってからは、17世紀〜20世紀までの、中産階級の人々が暮らしていた家の内部の様子が、ディスプレイされている皿や壷などのインテリアも含めて再現されています。時代ごとの典型的なリビング・ゲストルームが忠実に再現されており、順を追って見てゆくことで、住居の変遷の歴史をたどることができます。
ドイツ出身のイギリスの天文学者・音楽家・望遠鏡製作者の偉業を称えたウィリアム・ハーシェル博物館は、イギリス西部のバース市に位置します。 ウィリアム・ハーシェルはバース在住時に自作の望遠鏡で、人類史上初の土星外の惑星である天王星を発見、また、赤外線放射を発見するなど、天文学史上における数多くの業績で知られます。ウィリアム・ハーシェル博物館は、天王星を発見した1781年3月13日から200周年を記念して、1981年にウィリアム・ハーシェルの旧居を博物館として開館したものです。この博物館には、ハーシェルが天王星を発見したときに使われた可能性が高いとされる反射望遠鏡の精巧な複製品や、その他の望遠鏡、天文学研究に要した品々、調和のとれた美しい道具・楽器の数々が並び、彼の生涯にわたる音楽と天文への興味を今に残しています。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(通常V&A)は、ヴィクトリア女王とアルバート公により基礎が造られた美術とデザインを専門分野とした博物館です。そのコレクションの質と内容の豊富さにおいては、世界に並ぶものがないといわれ、陶磁器、家具、衣装類、ガラス細工、宝石、金属細工、写真、彫刻、織物、絵画など、3000年余りにおよぶ世界文明の遺物が蒐集されています。特に宝石と服飾のコレクションに関しては、ため息がでてしまうほど美しく、女性なら誰もが楽しめるでしょう。
ロンドンの金融街シティ地区に位置するクロックメーカー博物館は、コンビニほどの広さ小さな博物館ですが、歴史あるイギリスやヨーロッパの時計がところ狭しと、600点ほど展示されています。時代としては、1600〜1850年ころの置時計、懐中時計、ぜんまい式時計、デジタル式時計、タイムキーパーなど種々の時計がずらりと並び、時計の歴史とあわせて楽しむことができます。