前回に続き、スイスのアンティークな博物館・美術館をいくつか紹介します。
ジュラ山脈の小さな山村サント・クロワは、時計の技術から発展をとげたオルゴールの里として知られています。現在も、オルゴールの業界で世界トップレベルの品質を誇るリュージュ社あるこの山村は、19世紀末には40以上の工房と、600人以上の労働者がオルゴールやカラクリ仕掛けに従事していました。小鳥が羽ばたきしながらさえずるカラクリのシンギングバード Singing Birdが代表商品としても有名です。有名オルゴールメーカー・パイヤールPaillardの工場跡地につくられたオルゴール博物館・Musée du CIMAには、オルゴールのだけでなく、時計、オートマタと呼ばれる自動人形の名品やからくり人形、工場の機械が今も現役で動く状態で展示されています。
トイワールド・ミュージアムは、スイスのバーゼル・シュタット準州の州都バーゼルにあるミュージアムです。常時6000点以上の人形やドールハウス展示し、ドールハウスミュージアムとしてはヨーロッパで最大級を誇っています。
特に2500体を超える貴重なテディベアのコレクションは圧巻で、ドイツ、アメリカ、イギリス、フランス、日本などのテディベアが、100年以上前の古いものから、新しい作品までコレクションされています。また、マルガレーテ・シュタイフの工房で誕生したアンティークテディベアなども数多く揃えられています。
展示されているテディベアのひとつひとつに番号がついており、展示室に置いてあるカタログをみれば、商品名・製造メーカー・国名・製造年・特徴が記されています。
また、ドール全盛期といわれる1870〜1920年頃までのドイツ・フランスでつくられた稀少な人形のほとんどが、このミュージアムでみることができます。そのほか日本のこけし、雛人形なども展示されています。
スイス・ゲーム博物館(Musée Suisse du jeu)は、スイス連邦ヴォー州にあるゲーム専門の博物館です。世界各地から5000点以上のゲームを蒐集したこのゲーム専門の博物館には、紀元前3000年頃のものから近代まで、ありとあらゆる貴重なゲームが所蔵されています。
おもちゃ博物館とは異なり、スイス・ゲーム博物館ではルール性重視の遊戯具の収集、保存、研究調査及び展示を行っています。また、ワークショップ等を通じ、一般の人々を対象にゲーム史の理解、ゲームルールの伝播、普及を目的としているこの博物館には、アフリカのマンカラというボードゲームや、昔の駒やサイコロなども展示され、囲碁クラブやボードゲーム会なども定期的に開催されています。