たばこに火をつける道具であるライター。単に火を着けるという目的だけであれば、使い捨て100円ライターでもよいですが、やはり、Zippoなどのライターで、たばこに火をつける仕草は、男性的でかっこよく、憧れる方も多いのではないでしょうか。
洋画「理由なき反抗」でジェームス・ディーンがくわえタバコをして、片手でライターに火をつける仕草や、日本でも古くは石原裕次郎やショーケンが、スマートにライターを扱うシーンをみて、一生モノのライターを手にしたい、コレクションしたいと思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ライターは、近代に入ってから、さまざまな創意工夫が凝らされ、開発されてきました。
1900年代には、オーストリアの化学者が、鉄とヘリウムの合金が、火打石よりも強い火花をだすことを発見しました。
このアイディアを利用して、ベンジンなどの発揮性液体をしみこませた綿をつめたタンクの上に、灯芯を出し、発火やすりに発火石(フリント)をこすり回して点火させるようにしたライター”オイルライター”が、今日あるライターの始まりといわれています。
このフリントをこすり回して点火させるライターを専門的にはぺトロールライターというそうですが、ドイツのライター会社がハーウェイを、オーストリアのライター会社がジムコーという名でぺトロールライターを1911年に発表し、販売に乗り出しました。
ドイツのハーウェイライターは、上部に発火やすりと、下部にぺトロールタンクの2部で構成されており、上部が開くと同時に点火するという目新しいアクションで人気となりました。
しかし、このタイプのライターは上下スプリングを1本で支えているため、使ううちにスプリングが折れてしまうという致命的な欠点がありました。
それを改善するために、オーストリア、イギリス、フランス、スイスなどで様々な研究がなされ、1930年代後半まで千差万別のライターが生産されました。
この時代には様々なライターが生産されたにもかかわらず、そのほとんどが売れずに姿を消していきました。そこに新たなスタイルのライターを誕生させたのがイギリスのダンヒルです。1922年、それまで別の事業を行っていたダンヒル社が、火のつきやすい、頑丈でスマートなダンヒル・ユニークライターを発表し、1950年代までに100種類以上のぺトロールライターを生産販売して、スイス、フランス、アメリカの大都市に支店を設けるまで成長し、今日のダンヒル社の経営基盤を築き上げました。
一方、第二次世界大戦中は、アメリカのジッポライターやイギリスのトミーライターが軍の兵士らに配給されるなどしました。
戦後間もない1946年に、フランスのフラミネル社によって、高圧の液化ガスを燃料にしたガスライターが発明されると、イギリスのダンヒル社、フランスのデュポン社、スイスのコリブリ社などが、それまで主流であったぺトロールライターから、ガスライターの生産へと乗り出しました。
次第にぺトロールライターが市場から姿を消していきましたが、そうした時代の流れの中でもアメリカのジッポ社は根強くぺトロールライターの生産を続けていったといいます。
このガスライターの出現により、様々なライターがされるようになり、圧電素子を利用した電子ライター、 電池を使用したバッテリーライター、ICを部品として利用したICライターなどが次々と生産販売されました。
現在は喫煙者自体が減少傾向にありますが、付加価値をもつファッションアイテムのひとつとして、またステイタスシンボルとして、大量生産のライターでは決して手に入れることができない、風格と高い技術を有する数々の高級ライターが、愛煙家たちを魅了し続けています。