アンティーク家具の木材について
「世界三大銘木」という概念
作られてから100年以上がたち、美術的な価値をもつというアンティーク家具の世界における「世界三大銘木」という呼称は、明治時代(1800年代)以降から年代をさかのぼる一定の時期にヨーロッパの家具で使われていた木材の代表格を便宜的に指し示した表現です。
今となっては、このうちのマホガニーの本物の材木は殆ど流通がなく、地球環境保護の点からワシントン条約の対象となっているものです。これらの木材で作られた現存するアンティーク家具は大変希少なものとなっています。
杢のゆがみ、年輪、自然が作り出した質感などのの様々な理由から「銘木」として価値を認められた木材が、パイプや、いまとなっては「アンティーク家具」となっている家具や、茶道具、万年筆、建築の装飾などにつかわれ、一種のステータスシンボルとされてきました。
マホガニー:センダン科の広葉樹です。現在ではいちじるしく数が減ってしまい、本マホガニー材は殆ど流通がありません。ワシントン条約によって取引に規制がかけられていますので、入手は大変困難になっております。従って、マホガニー製のアンティーク家具も希少な品となっております。材は紅黒色で堅く、磨くと光沢が出ますので、お持ちの方は大切にお手入れされることをお勧めいたします。マホガニー製のコーヒーテーブルやチェストのなかには、買取が望める品がある場合もあります。
チーク:クマツヅラ科の広葉樹、インド・タイ・ミャンマーのものが良質とされます。
ウォルナット:クルミ科の落葉広葉樹です。はっきりした木目と淡い茶色をしていて、つややかな光沢をもちます。ヨーロッパから西アジアにかけて分布し、中心部に近くなるほど灰褐色で暗褐色の不規則な縞が現れます、辺部分は淡色です。木材はねばりがあり、曲木に適しており、重さ、硬さがあります。虫害を受けやすく、青黒いシミが出ることもあるものの、加工がしやすく仕上がりもきれいなものになります。
家具、楽器、高級車の内装、銃床、彫刻材、轆轤(ろくろ)細工などに使われてきました。
西洋アンティーク家具に使われる木材そのほか
チェリーウッド
インドネシアに分布するインドローズ科の樹木です。紫がかった独特の色調をもつとても硬い木材で、切ると断面からバラのような香りがすることも有名であり、蜜蝋など天然素材のワックスで仕上げると紫色が際立つため大変うつくしく、楽器や家具に使用されてきました。ワシントン条約の規制対象となっております。
ナラ(オーク)
落葉樹であるナラ(楢)と常緑樹カシ(樫)の総称です。良質な高級アンティーク素材の代表格として、テーブルなどに広く使われている「オーク」の分類に含まれるナラ材です。
曲げ木の加工に適した特質を持ち、ナラ材曲げ木の椅子などは大変美しいものです。
はっきりした木目を持ち、「タイガークランク」という虎模様が入っていることが特徴です。
新品の状態は肌色に近い色ですが、使い込むことで徐々に色味が変わり、深い飴色へと変化します。国産木材の中でも最も硬い部類であるナラは高い耐久性を誇り、彫の細工もよく施されます。一度ついてしまった濃いシミを消すのは大変です。水気や湿気には気を付け、また出来るだけ直射日光を避けて。陽の当たらないところに置くようにしましょう。
栗材
アンティーク家具に用いられる素材の中で高級品のひとつであるのは栗です。
耐久性が高く、水にも湿気にも強いことから、古来より住宅の土台や屋根などに使われてきました。栗材の家具は、手触りの良さも特徴です。環境の変化にも強い素材であるため、一般的なアンティーク家具と比べて設置する場所や気候に注意を払いすぎなくても丈夫です。汚れがついた場合も水拭きで取ることが出来るので、お手入れも手軽です。
かたく絞ったやわらかい布での水拭きでほこりや汚れを落としながら、表面を磨くように拭く、というお手入れを日常的におこなうことで、自然なツヤが増していきます。
以上のほかにも沢山の種類の木材があることでしょう。日本・中国のアンティーク家具となりますと、使われている木材の種類はまた違ってまいります。呼び名が異なっても、内容は同じというケースもあります。買取査定の際には、現在の市場の状況によってお値段感に大きな開きがある場合は多いものです。
家具は、古くから様々な技術を使って巧みな贋作が多く造られてきた分野でもありますので、確かなお品物を蒐集していくためには、各国、各時代の家具の様式と使われ方、特徴をしっかりとつかみ本物を目に触れる経験を積むことと、贋作の家具をよくご覧になることが、要となってくるようです。