骨董品とはなにか
皆様が思い浮かべる「古いもの」「古い年代に造られた品物」や、「年代物」と呼ばれる条件をそなえた品物は、数字にしておおむね何年くらい前のもの、というイメージがありますか?
お問い合わせが特に多いものとしての「日本人形」「古い雛人形」「碁石」「碁盤」などお伺いしますと、ここ20〜30年くらいの間のものが多い様です。
骨董品としての価値をもつお品物は実際にはどの程度の昔のものであり、どういった条件のものなのでしょうか?
当コラムでは日本においてみとめられる「骨董品」として認められるお品物の条件や「骨董としての価値」というものが何であるのかについてお伝えしていきたいと思います。
どんな物が「骨董品であるか」という定義はただ一つ。
1934年にアメリカで制定された通商関税法の文面の中に記されています。
『製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品』
欧米各国におけるアンティーク(骨董品) Antique の定義もおおむねこれに従っております。なおこの定義は日本も加盟しているWTO(World Trade Organization)においても採用されており、加盟国間においては「100年前に製造されたことが証明された物品に対して関税はかからない」とされております。
英語ではアンティークというより新しめな品物を指す場合の表現も様々です。
- セカンドハンドsecond-hand(中古品)、old curios(骨董品、古物全般を指して)
- ラビッシュ rubbish (junkより価値は低く中古品に近い)
- ジャンク junk (作られて100年に満たず、少々価値がある)
- ビンテージ(ヴィンテージ) vintage(年代を経ていて質が高く、通好みなもの)
そして、5.アンティークantique(つくられてから100年以上が経っており、質が高く美術的な価値をもつ、通好みなもの)
というように、単語が使い分けられています。美術的な価値、という点がなかなか、抽象的でむずかしい点ですね。
骨董に関することばのいろいろ
一方日本語の「骨董品」という言葉の意味とはどのようなものなのでしょう。日本国語大辞典によりますと「希少価値や美術的な価値などのある古美術品や古道具類」という現在一般的に使われる意味の一方、「古いだけで価値がなく役にたたなくなったもの」とも説明されており、正反対の意味をそれぞれ含有している状況があります。大言海によりますと、日本の江戸時代の「骨董」とは「コトコト」「ゴタゴタ」などと同じ意味を持つ擬声語であったといいます。ここから派生して「骨董飯」(いまでいう五目飯)「骨董汁」(雑多な具をいれた汁物、こっとうじる)という言葉がありました。
漢字源によりますと、「骨董」の「董」という漢字は「しんになる大切な物。『骨董』とあり、「骨」という漢字は「ほね、物事を組み立てる芯になるもの、『骨子』とあります。雑多なガラクタという意味が時代を経て「希少価値のある古いもの」という意味が付け加えられていった歴史を持っているということが分かります。まさに玉石混合といった状況の中に貴重なお品物が紛れているかもしれない印象そのものを表しているかのようですね。
ここ20〜30年以内のものや流通した数がとても多い品物など、昨今の市場の状況によりなかなかお値段のつかないお品物も多いものですが、埃だらけだったり、色あせて居たり、「これはガラクタみたいだな」と思うようなお品物の中にこそ、可能性は秘められているかもしれません。
いわの美術の出張査定では埃だらけで品物を開けることが困難なケースにも、なるべく寄り添うようにしていきたいと考えております。出張費は頂いておりません。そのためお客様とのマッチングを確実にするため、たくさんの確認事項をお伺いいたしておりますが、ご了承いただければと思います。