尾形月耕は明治〜大正時代に活躍した浮世絵師で、「東京流行細見」に示された浮世絵師の細見では、月岡芳年、小林永濯、落合芳幾、豊原国周、鳥居清満、三代広重に次いで7番目にその名が挙げられています。
そんな尾形月耕ですが、父親の強い勧めで絵を描くようになり、独学で画技を磨いた人物で、特に菊池容斎に私淑していたようです。
尾形月耕の生家は葛飾の地主でしたが、父親が17歳の頃にこの世を去ったため、利権も他家に移り家は没落してしまいました。
その後、1881年頃から琳派の系統である尾形光哉の家姓を襲名して「尾形」を名乗るようになり、単行本やボール表紙本の挿絵をはじめ、「絵入朝野新聞」など新聞の挿絵を手掛け、多くの文芸雑誌の口絵を描くなど、人気画家として注目を浴びるようになり、月岡耕漁ら弟子の育成にも力を注いでいました。
尾形月耕の画力は独学であるにもかかわらず、見る者を魅了する独特の世界観が最大の魅力です。
桃太郎を題材にした作品では鬼の視点から描かれており、珍しい表現も尾形月耕の作品鑑賞をする上での楽しみではないでしょうか。
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