最新情報

スイス・アンティーク磁器〜ニヨン窯

2016/9/21

スイス・アンティーク磁器〜ニヨン窯


ニヨン窯は、スイス連邦鉄道のジュネーブ駅からローザンヌ方面へ向かって列車で約15分、スイス西部のレマン湖畔の町ニヨン(Nyon)に1781年に誕生した磁器窯です。


ドイツのフランケンタールから来たフェルディナンド・ミュラー(Ferdinand Mueller)が硬貨磁器焼成の秘法を知るベルリンのヤコブ・ドルツ(Jacob Dortu)と共に創設し、その後は、ヤコブ・ドルツが、フランス革命後の経営悪化による1813年の閉窯まで、窯主として経営の実権を握っていました。


それまでスイスにおける磁器生産は、チューリヒ近郊のチューリヒ窯でのみ行われていたので、ヤコブ・ドルツのニヨン進出は画期的なことといわれています。


チューリヒ窯...18世紀のスイスを代表する磁器窯の一つ。1763年、詩人や画家、彫刻家などの芸術家が協力して設立された。磁器とファイアンスの両方を製作し、開窯当初は軟質磁器を焼成、その後、カオリン土を用いた硬貨磁器を焼成した。驚くほど繊細なタッチの上絵付けを施した美しいテーブルウェアの製作で知られている。窯印はZのイニシャルの下に3つの斑点。


ニヨン窯は、もっぱら地元の名士や貴族からの支持を受け、主にテーブルウェアを製作し、初期には白地金彩に暗褐色の単色で田園風景に人物を配した、優れた絵付けのロココ趣味の飾り壷や、チョコレートカップなどが知られています。


その後は、小花散らしや花綱、小枝文様など、当時流行のセーブル窯やパリの装飾を模したパターンのものが製造されました。これらはリヨン焼と呼ばれ、ル・ブルエ(矢車菊)とニヨン・ローズ(薔薇)といった可憐なデザインパターンのテーブルウェアなどの品々は、アンティークファンの間で今日でも大変人気があります。


ニヨン窯は、魚を描いたブルーの下絵がバックスタンプ(窯印)に用いられています。ニヨン窯のバックスタンプの魚は、鮪のような太った魚、太刀魚のような細長い魚、おたまじゃくしのような丸い頭部に細い尾を描いたものなど、千差万別で、右向き・左向きと勝手きままに描かれています。

そこには歴史的有名窯のように年号や時代による違いもなく、そこに同時の陶工たちの個性が密かに表現されているともいえますが、ニヨンのバックスタンプの中に同一の魚を探すのも、アンティーク磁器コレクターの楽しみのひとつとなっています。


レマン湖を見渡す丘の上に建つ古城・ニヨン城は、現在、歴史・陶磁器博物館、特別展覧会場、ワイン倉庫となっており、その城の2階には、18世紀〜19世紀にニヨンの名をヨーロッパに広く知らしめたニヨン窯の優れた作品が展示されています。

« 最新情報一覧へ戻る
骨董品の無料査定・
買取のお申込みはこちら
WEBからのお問い合わせ・査定依頼はこちら
0120-226-590
HOMEへ戻る
ページトップへ
いわの美術株式会社
横須賀本店
〒238-0008
神奈川県横須賀市大滝町2丁目21
0120-226-590 ※持ち込み要予約
営業時間 9:00~19:00(年中無休)
PCサイトへ
いわの美術 Copyright © 2024 Iwano Art. All Rights Reserved.