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鉄釉について

2015/11/20

鉄釉について


鉄釉の「釉」とは

陶磁器の表面に熔着したガラス状の被膜を「釉(うわぐすり)」といいますが、釉は、陶磁器を堅牢にし、汚れにくくし、耐久性を高めるといった機能的な役割を持っています。また、釉は、そういった機能性の面だけでなく、美しい色合いや光沢などの装飾的意味合いにおいても施されます。

詳しい釉の説明については、こちらの「釉薬の意味について」をご参照ください。


今回は、釉の中でも、鉄分(酸化鉄)を呈色剤とする釉の総称である「鉄釉(てつゆう)」についてご説明します。鉄釉を施し、高火度焼成したものを鉄釉陶器と称します。


鉄釉の色

鉄釉陶器は、釉に含まれている鉄分によって黒色、茶色、黒褐色、柿色などに呈色する陶器の制作技法で、釉中の鉄分量によって、発色が異なります。

1%程度では薄い黄色を呈し、5%程度で褐色、10%程度で黒褐色となり、それを超えるとチョコレート色の被膜を生じた柿色を呈します。


一般的にいう鉄釉とは、黄釉、飴釉、銹釉、柿釉、黒釉、天目釉などがあります。 専門家によれば、鉄釉の一種と勘違いされやすいのが青磁釉です。青磁釉は、鉄分が添加されたものと思われてしまいがちですが、青磁の青緑色は、本来、青磁の胎土に含まれる鉄分と、灰に含まれるわずかな鉄分から引き出される色といわれています。


鉄釉の歴史・技法など

鉄釉陶器は、別に天目とも呼ばれ、東洋独特の焼物として独自の発展を示した技法です。古来、鉄釉陶器は中国各地で作られ、特に優れたものが焼かれたのは中国宋時代で、数多くの名品が生まれ、日本にも多くもたらされました。

日本で初めて高火度焼成の釉が使われたのは、鎌倉時代の古瀬戸で、それ以来、茶道の流行等を背景に、天目茶碗に象徴されるように独特の鑑賞の美学を作り出して発展し、全国各地で作られました。


鉄釉による加飾法には、釉を重ね掛けする二重掛け法がありますが、日本では鉄釉に藁灰釉を重ね掛けした朝鮮唐津、長石釉を重ね掛けした蛇蝎唐津(じゃかつからつ)などがあります。

近代に入って、技術的にも著しい進歩が見られ、鉄釉を駆使して優れた制作活動を行う作家が輩出されました。


「鉄釉陶器」技法による国の重要無形文化財(人間国宝)に、石黒宗麿、清水卯−らがいます。

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