硯には蓋や箱が付いているものは 珍しくはないが、蓋に白玉がついているものはそう沢山はないだろう。 又、蓋の材質も唐木であり、面白い組み合わせである。
蓋に象嵌されている白玉だが、白玉自体にも彫刻がされている。 波にゆれる桃と上部に蝙蝠が彫られているが蝙蝠は吉祥を象徴している。蝙蝠の『蝠』は中国語で同じ発音の『福』に通じさせて富貴長命を表している。
硯の形は丸く、硯の上部には果実の様な彫り物をされた窪みがある。 この窪みは『池』と呼ばれ墨汁を溜めておくところである。 池と池の間に独特の斑点があるが、これは『眼』呼ばれ、この斑点の有無や数、配置が数々の文人を楽しませてきた。