こちらの作品は、先日買取致しました棟方志功の木版画「馬頭尊憤懣の柵」です。
お買取した「馬頭尊憤懣の柵」は、昭和21年に棟方志功が、戦後、第1回日展に出品した「愛染品板画巻」(15柵)に収録されているもののうちのひとつです。
馬頭尊は、観世音菩薩の化身で、六観音の一つである馬頭尊を指し、柔和相と憤怒相の2つの相をもつ観音です。観音としては珍しい忿怒の姿をとる菩薩の化身ですが、今回買取の棟方志功の木版画の馬頭尊は、憤怒相が表現されています。
作品のタイトルに「柵」がつけられていますが、棟方志功の説明によれば、「柵」とは四国の巡礼が寺々に納める回礼で、願いをかけてお札を納めて歩く心を表すものです。一柵ずつ、作品に願いをかけた棟方志功の想いが、この文字にこめています。
お買取した「馬頭尊憤懣の柵」は、木版の特徴を生かした棟方の木版画作品らしく、タイトルは「憤懣」とありながらも、丸いフォルムの、素朴な味わいのある馬頭尊が表現された作品です。
買取査定の際は、面先や額縁の裏板に汚れなどがみられたため、マイナス評価がつきましたが、市場でも常に評価の高い棟方志功の木版画作品とのことで、好評価にて買取させていただきました。
日本が世界に誇る、20世紀美術を代表する巨匠の一人、棟方志功。棟方志功は自身の作品である版画を「板画」と呼び、木版の特徴を生かした作品を一貫して作り続けました。また、棟方志功の肉筆画作品は、「倭画」と言われ、日本のみならず、海外でも板画と同様に、高い評価を受けています。
いわの美術では、棟方志功の板画、倭画などの作品買取を強化しております。
棟方志功の板画の特徴のひとつに、「裏彩色」があげられます。棟方志功は白黒板画を鮮やかにするために、和紙の裏から色付けする中国の古法の「裏彩色」を施し、木版画らしからぬ華やかで温かみのある色合いの作品の数々を残しました。
特に、棟方志功の昭和12年以降の板画には、裏彩色によるものが多くみられます。
また、棟方志功は、木版画・倭画のほかに、油絵、書、詩歌などに多くの傑作を残して、いずれの作品も買取致しております。
世界的に著名な棟方志功の板画や倭絵の作品には、残念ながら贋作が多く出回っておりますので、買取の際は、棟方志功鑑定委員会などにより真贋鑑定された鑑定書があれば、買取評価にプラスに働きます。 いわの美術では、これまで多くの棟方志功の木版画など作品買取実績を有しております。棟方志功の作品をご売却をお考えでしたら、買取実績豊富ないわの美術にお任せください。