こちらの美しい日本画は、女性として初めて文化勲章を受賞した上村松園のシルクスクリーン「待月」です。
上村松園は、「西の松園、東の清方」と並び称され、清らかで端正な女性像を手がけ、名実ともに現代の女性画家の第一人者といえ、今日に至るまで他の追随を許さない、高い品位を備えた美人画を数多く残しています。
福岡県福岡市の方が、ご両親の遺品整理で出てきたお品物の処分に困り当社にご売却して頂きました。
今回お買取した上村松園シルクスクリーン「待月」の原画は、昭和19年に手掛けられたもので、日本髪を結った女が、欄干に肘を乗せ、雲間から出づる月を心待ちにする様子が描かれています。
美しい青色の夏着物の下から、紅白模様の襦袢がうっすらと見えているのが、季節を感じさせ、瀟洒な雰囲気を醸し出しています。
この「待月」は、上村松園晩年の名作として知られます。月は描かれていませんが、見えない月を余白に追うこの構図は、余白の美を最大限に生かしたもので、「描かずして描かれた月」をみる者にイメージさせる心理的効果をも持っています。
シルクスクリーン裏面には、上村松園の孫にあたる日本芸術院会員上村淳之監修の落款と限定番号入りの共シール付で、限定380部のうちのひとつをお買取させていただきました。
清楚で内面的な強さを映し出した女性の目から見た美人画の粋を極めた上村松園。上村松園は、近代日本画を代表する重要な存在として位置付けられています。
上村松園は女性が画家として生き抜いていくことが難しい時代であったにもかかわらず、様々な苦難をその強い精神力と技術で乗り越え、見事日本画壇の中心的存在となったことで知られています。
上村松園は自らの作品を「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語りました。
また、上村松園は、皇室により日本美術の保護と作家の制作奨励のため設けられた帝室技芸員制度で、男性作家が大半を占める中、上村松園が任命されています。このことは女性の社会的な立場や活動の場が限られていた時代ながら、画家として上村松園が高く評価されていたことを示しています。
いわの美術では、年間多くの上村松園のシルクスクリーンなどの版画作品や掛軸などの買取実績を有しております。
不動の人気を誇る上村松園の肉筆作品は、高価買取が期待できますが、人気の高さ故、贋作も多く存在するため、買取の際は、共箱や鑑定書、画廊の共シールなどが付属していますと、評価が上がり、買取額も高くなります。
上村松園の作品買取に関して、ご不明点やご質問などがございましたら、お電話・メールにてお気軽にお問合せください。無料オンライン買取査定フォームでは、24時間ご質問などを承っており、写真での情報を頂けますと、折り返し担当買取スタッフより、簡易な買取査定額をご案内することが可能となります。